矯正治療における多くのトラブル
- 上手く噛めない（噛みづらくなった）。
- 口元が前に出てしまい顔が変に変わってしまった。
- マウスピース型の矯正治療をしたが上手くいかなかった。
- 矯正治療後しばらくすると歯並びが元のデコボコな状態になってしまった。
矯正治療はどの歯科医院でもどの先生に治療してもらっても結果は同じ。ではありません。
実はあまり知られていませんが矯正治療において様々なトラブルが発生してます。
矯正治療終了後、確かに歯並びは綺麗になったが、
こうした悩みを持たれている方も当院には多く来院されます。
その多くは一般歯科医院（虫歯・歯周・補綴治療などを主としている医院）での、 矯正治療経験不足から起こる失敗、矯正歯科専門の医院においても、診断ミスや患者さんの要望通りに治療して失敗してしまう、などの様々なケースがあります。
ここでいくつかご説明します。
非抜歯による矯正治療のトラブル
歯並びにコンプレックスがあり、綺麗な歯並びにしたいと矯正治療を検討し、矯正治療の知識が付くと、矯正治療の際には抜歯する場合と、抜歯しない場合があると知ると思います。
じゃあ「自分は歯を抜かずに矯正治療したい！」と思われる方が大半です。
こうした患者さんの要望があるので、多くの一般歯科での矯正治療や矯正歯科専門の医院でも、「当院の矯正治療は非抜歯で治療します。」といった宣伝を掲げている医院が多くあります。
私も患者さんの歯をむやみに抜きたくないので、お口の中を見せて頂き、検査を行った結果、歯を抜かないですむ場合は非抜歯での治療を選択します。
しかしながら日本人は骨格上、欧米人に比べると顎が狭いということもあり、抜歯するべき患者さんに対して歯を抜かないことで様々なトラブルが発生することがあります。
大きさが合っていない器に(=歯槽骨の大きさ)、大きすぎるもの(=歯)を並べるわけですから、溢れかえって理想的なアーチとはならずに、口元が前に出て顔貌が変わってしまったり、噛み合わせも悪くなって上手く噛めなかったりすることがあります。
このような場合、「歯を抜くこと」は顔貌・噛み合わせの２つの意味で、最善の選択となります。
では、器(=歯槽骨)が小さいなら床矯正装置を使って拡大して非抜歯での治療は可能ではないのかと思われるかもしれませんが、それもすべての患者さんに適応するわけではありません。
床矯正装置を使って顎を広げ、その広げた顎に綺麗に歯を並べるという矯正治療の方法が小児期の治療で行われることがあります。
しかしこの小児期での治療も非常に繊細な治療計画と経過観察が求められることと、成長が終わっているにもかかわらずデコボコがあるからといって無計画に顎を拡大し続けた結果、上と下の歯の噛み合わせの問題や顔貌の問題にも繋がりかねません。
それは患者さんの要望を叶えたいからこそ起こり得る結果なのですが、そもそもの患者さんの要望は「歯並びを綺麗にしたい」なのです。そして出来れば歯を抜きたくない。
矯正専門の医師として患者さんの要望をできるだけ叶えたいですが、全ての患者さんに非抜歯での治療が適応するわけではなく、患者さんそれぞれにあった治療をしなくてはなりません。
床矯正装置を使った非抜歯矯正によるトラブル
日本人は欧米人に比べ元来顎が狭い、という背景から床矯正装置を使って顎を広げ、その広げた顎に綺麗に歯を並べるという矯正治療の方法があります。
しかしこの治療も非常に繊細な治療計画と経過観察が求められます。
歯を抜きたくないからといって無理に顎を広げた結果から噛み合わせの問題や顔貌の問題にも繋がりかねません。 非抜歯治療によるトラブルは矯正治療において多く存在します。
それは患者さんの要望を叶えたいからこそ起こり得る結果なのですが、そもそもの患者さんの要望は「歯並びを綺麗にしたい」なのです。そして出来れば歯を抜きたくない。
矯正専門の医師として、患者さんの要望を叶えてあげたい気持ちは強くありますが、その人に合った治療をしなくては結果として患者さんが幸せになれないのです。
マウスピース型の矯正装置を用いたトラブル
マウスピース型の矯正装置を用いた矯正治療のメリットとは、やはり目立たないこと。
矯正治療期間中に矯正装置が目立つのが嫌だという患者さんも多く居ます。
そこで要望されるのがマウスピース型の矯正装置での矯正治療となりますが、 矯正治療前の歯並びのでこぼこの程度によってはマウスピース型での矯正治療の適応でないケースもありますので、適切な診断が必要です。
またマウスピース型での矯正治療は常日頃からマウスピースを付け続けなければならず、付け外しで装置を付け忘れて出掛けたりすれば治療計画通りに進みません。そうしたトラブルも多く存在します。
矯正治療後、暫くすると歯並びが元のバラバラな状態に戻ってしまった。
矯正治療は歯が綺麗に並んだらそれで終わり、というわけではありません。
個人差がありますが、綺麗に並んだ歯並びでも、装置をとったあとしっかり保定装置(リテーナー)を使用しないと、治療前の歯並びへと「後戻り」してしまいます。
この後戻りを起こさないため、矯正治療終了後の保定装置の使用や定期検診を軽視してはいけません。